オリゴ糖とは?
オリゴ糖の歴史や種類、特徴など概要をまとめてみました。
オリゴ糖と砂糖の違い
オリゴ糖は、砂糖の仲間の糖質です。
それ以上は分解できない糖質を「単糖」と呼びますが、オリゴ糖は単糖が数個結合してできるもので、糖質の種類では「少糖類」に分類されます。
一方、砂糖(しょ糖)のほうは糖質の中でも単糖が二つ結合してできるので、少糖類の中でも「二糖類」に分類されます。
糖質の種類
「オリゴ」という語はギリシャ語で「少ない」という意味であり、「少ない個数で結合した糖」なので、オリゴ糖なのです。
ちなみに多糖類とは、だいたい目安として単糖が10個以上結合した糖質のことをいいます。多糖類には、ご飯やパンに含まれるデンプンなどがあります。
オリゴ糖は、わたしたちが日頃から口にする身近な食べ物の中に含まれています。例えば、大豆や玉ねぎやバナナの中にも含まれている糖質がオリゴ糖なのです。
オリゴ糖の歴史
オリゴ糖が発見されたのは、今から約100年以上前になります。フランスのパリで生物学・医学研究を行っていたルイ・パスツール研究所が舞台となりました。
まず、当時ルイ・パスツール研究所の小児科だったティシエが、1899年に健康な赤ちゃんのウンチからビフィズス菌を発見しました。赤ちゃんのウンチの中に含まれているビフィズス菌を分離することに成功したのです。
そもそもなぜ赤ちゃんのウンチを研究の対象にしたのかと不思議に思われるかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があります。
母乳で育っている赤ちゃんのほうが、人工ミルクで育つ赤ちゃんよりも下痢や病気にかかりにくいことに気づいたことがきっかけとなりました。その違いがどこからくるのかを調べていくうちに、母乳で育つ赤ちゃんのウンチにはビフィズス菌が多く含まれているということが分かってきたわけです。
それからビフィズス菌の特性についての研究が進むにつれ、ビフィズス菌が人の健康にとても有用な働きをすることが明らかになっていきました。
そこでビフィズス菌と並行して、ビフィズス菌を増やすにはどうすればよいかという研究が行われていきました。
その結果、母乳に含まれるビフィズス菌を増殖させる成分がオリゴ糖であることが分かったのです。その後も多くの研究によって色々なオリゴ糖の種類が特定されていきました。
現在では、オリゴ糖の腸内環境を整える効果は広く認められており、多くの健康食品の中に配合されています。また特定保健用食品として認められた商品も存在しています。
オリゴ糖の種類
一口にオリゴ糖と言ってもその種類は様々で、約20種類あると言われています。その中でも、よく知られている代表的なオリゴ糖の種類としては以下のようなものがあります。
ラフィノース
主にビート(砂糖大根)から抽出されるオリゴ糖です。オリゴ糖の中でも希少性が高くて近年人気のある種類です。自然界では、キャベツやブロッコリーやアスパラガスなどにも含まれています。酸や熱にも強く、料理にも使えます。抗アレルギー作用があることが認められています。吸湿性がほとんどないのも特徴です。
ガラクトオリゴ糖
牛乳に含まれる「乳糖」を原料として作られます。昔から使われている馴染み深いオリゴ糖で自然界では母乳に含まれています。甘みは弱くさわやかで、たんぱく質を吸収する働きがあるといわれています。
フラクトオリゴ糖
玉葱、ごぼう、ニンニク、バナナ、チコリなど様々な野菜や蜂蜜にも含まれているオリゴ糖です。人工的に作る場合は砂糖に酵素を作用させて作られ、子どものお菓子などによく使われます。低カロリー甘味料として利用されています。ミネラルやカルシウムの吸収を促進するので、骨密度の低下を防ぐ働きがあります。やや高価です。
大豆オリゴ糖
大豆蛋白質の副産物から作られます。ほかのオリゴ糖よりも甘味度が高いのが特徴です。もともと大豆や大豆加工品に含まれますから、それらを食べることでも摂取できます。
キシロオリゴ糖
自然界ではタケノコやトウモロコシに含まれるオリゴ糖です。虫歯の原因になりにくい特徴があるため、虫歯予防で注目を浴びています。食品としては白樺や樫などの樹木やトウモロコシの芯など食物繊維から生成されます。整腸作用が強くて少量で効果を発揮します。
イソマルトオリゴ糖
味噌、醤油、清酒などに含まれるオリゴ糖です。家庭用シロップやテーブルシュガーとして使われることが多いようです。熱や酸に対して強い性質をもっているので料理などに最適です。虫歯になりにくく、比較的安価で売られています。
ラクトース(乳糖)
牛乳や母乳に多く含まれるオリゴ糖です。カルシウムやマグネシウムの吸収を助ける働きもします。
乳果オリゴ糖
ラクトスクロースとも呼ばれます。砂糖を加えたヨーグルトが発酵する時に生成されるオリゴ糖です。乳製品との相性が良くて親しみやすい甘さです。市販のものは天然のサトウキビのしょ糖と乳糖を原料に、酵素反応させて作られます。消化されにくいのでビフィズス菌増殖高価が高いといわれています。
オリゴ糖の特徴
オリゴ糖はビフィズス菌の栄養源となって、繁殖を促す働きをします。言い換えるならオリゴ糖はビフィズス菌の大好物のエサなのです。そして、このことが様々な健康効果をもたらしてくれます。
ところで、面白いことにビフィズス菌の種類によって好むオリゴ糖が異なるらしいのです。
オリゴ糖にも約20種類がありますが、ビフィズス菌にも数十の種類が存在しており、それぞれのビフィズス菌に相性のいいオリゴ糖があるようです。
人間もそれぞれ好きな食べ物が違いますが、それに似ていてなんだかほほえましいですね。
またオリゴ糖の中には、別名で難消化吸収性糖質と呼ばれる消化吸収されにくい種類のものが存在します。
このようなオリゴ糖の性質は血糖値が急激に上がるのを防ぎ、糖尿病などの予防改善に役立ちますし、砂糖の代わりに甘味料として使用するなら、虫歯予防や肥満予防にもつながります。